都市OS利活用協議会

データ仕様とは


実世界の情報交換

 実世界の情報交換とコンピュータによる情報交換は大部分同じです。コンピュータによる情報交換というと、難しく思われるかもしれませんが、殆どの場合は用語が違うだけです。勿論、細かく言うと違いは沢山あるのですが、それらの違いはコンピュータのエンジニアが理解していればよく、アプリを利用する様な一般の方は理解不要です。そこで本節では、まずは実世界の情報交換を俯瞰してから、コンピュータの話に移りたいと思います。
 実世界で会社や行政機関が定型的な情報交換を行う際、「帳票」というものを使います。帳票には色々なものがありますが、帳票には名前があり、項目が並んでいて、各項目には何か情報が記載されています。帳票に項目が並んでいるおかげで、帳票に記入する人は何を記入すれば良いか分かりやすいですし、帳票を受け取った人は必要な情報を一括して得られます。
 帳票の特徴をまとめると、例えば以下のものがあります。

●「帳票」の特徴

  • 帳票には項目が並んでいて、複数の情報をまとめて扱う事ができる
  • 帳票には名前がついていて、例えば「帳票名○○の情報を下さい」と言うと、具体的にどの様な情報が欲しいのか、齟齬なく伝える事が出来る。例えば、「あなたの住民票を下さい」と言えばイチイチ「名前と住所と・・・・を下さい」などと言う必要はない訳です
  • 帳票には記入ルールが定められていて、どの様に記入すれば良いか、ルールを参照すれば分かる


データ仕様

 データ仕様とは、実はコンピュータ用の帳票群の仕様の事を指します。つまり、コンピュータ用の帳票と帳票間の関係を定義する事です。コンピュータ用の帳票にも、実世界と同様に項目があり、各項目には記入する際のルールがあります。ご参考に、以下に用語の対応表を記載します。

一般の活動の中で情報をやり取りする際の用語 コンピュータの中で情報をやりとりする用語
情報 データ
情報交換、報告、通知 データ連携
帳票、帳票のフォーマット データモデル
帳票の項目 項目、属性、アトリビュート、プロパティー
帳票の項目に登録した値 属性値、バリュー、プロパティー値
帳票や項目関する体系やルール全般 データ仕様、オントロジー

 データ仕様を策定する際、コンピュータ用の帳票をどの様な単位に分割するのか良いのか、まず最初に考える必要があります。実世界の帳票の場合は人間が見ますから、複数の帳票をアチコチ突き合わせて見る必要があると煩わしいですし見間違いなども起きやすくなりますから、大抵の場合は情報を受け取る側にとって使いやすいように、策定することが多い様です。一方で、コンピュータは面倒なことは得意ですから、現実世界のモノやコトに合わせて帳票を定義しておいて、受け取った側がそれらの帳票を突き合わせながら